2013年6月3日月曜日

絵の価値

たまには長文を。

世界一知名度の高い絵といえば『モナリザ』
名作が多数展示されているルーブル美術館でも断トツの人気を誇ります。

いつも黒山の人だかり。


ダヴィンチが有名なのは疑う余地がないですが、ミケランジェロやラファエロなど他の世界的に著名な芸術家の作品よりもこの小作品の人気があるのはなぜでしょうか。

みなさん意見はさまざまでしょうが、誰もが納得できる答えは出ないと思います。

過去にはこんな事がありました。


海外のオークションで6750円で競り落とされた絵が、鑑定の結果ダヴィンチの物とされ、評価額180億円となった (1ポンド150円で計算)

この宗教画のニュース記事はこちら
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2010309/Leonardo-Da-Vinci-Is-long-lost-120m-Salvator-Mundi-painting-authentic.html

今はダヴィンチの絵という意識で見てしまうため、価値のある絵に見えます。
しかし、多数の人が参加するオークションで45ポンドだったという現実があります。

他にもこの女性を描いた作品


1998年にクリスティーズのオークションで画商が190万円で落札。(1ドル100円換算)

クリスティーズといえば18世紀から続く最も権威のある美術オークションハウスです。
世界中の名だたる画商やコレクターが参加するといっても過言ではないでしょう。

2007年、ほぼ同額でカナダの収集家がその画商から購入。
それが後の調査でダヴィンチの指紋らしき物が出たので評価額は数十億になる見込みとのこと。

クリスティーズ、そして画商のもとでの9年間。
多数のプロたちが見続けても値段が上がらなかったのは揺ぎ無い事実です。

この人物画のニュース記事はこちら
http://www.telegraph.co.uk/culture/art/art-news/6309942/Leonardo-da-Vinci-picture-worth-millions-revealed-by-a-fingerprint.html

上のは極端な例ですが、数十万円規模のマイナーな画家の作品でもこういった現象はあります。
絵の価値ってどうやって決まるのでしょう。

投機目的だとしたら寂しいですね。

私は何度か個展を開いていますが、いつも絵の値段をつける時に苦慮します。
ある意味、画家にとって永遠のテーマかもしれません。

みなさんはどう思われますか?


12 件のコメント:

  1. 指紋が発見されなければ、
    脚光を浴びることも無かった・・?!
    美術品・工芸品の悲しい性ですね?!

    モナリザ、小学生のころ生で見ましたよ!
    (特別好きな絵でもありませんが・・)

    気に入ってくれた人の手元
    もしくは、より多くの人の目に触れるところで
    脈々と受け継がれる品は幸せですね!

    でっ!岩井さん、岩井さん・・聞いてください!
    ポンタのブログAM11:00時点で
    訪問者数4000を超えそうです!
    何だ何だ!~と思ったら、トップページの地域情報に
    以前ポンタがアップした蕎麦屋の記事が・・(驚)

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    1. すごい、もう8000超えてます。
      ぐい飲みの知名度もぐんぐん上昇ですね。

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  2. わたくしがもしもダヴィンチの熱烈なファンだったら、
    その作品が欲しくなると思います。
    ダヴィンチ作と判明する前はどのような評価を受けていた作品であれ、
    それを描いたのがダヴィンチであるのなら
    それはもはや、ダヴィンチという壮大なストーリーの一部であるわけですから、当然、興味がわいてくるはずです。
    ある歴史叢書が1巻~50巻で完結しているものと思われていたところ、
    実は3巻と4巻の間に3・5巻が発見されました、となると
    読んでみたくなりますもの。(笑

    そうした新たな事実の発見により
    より深く作者を理解することが出来るようになるわけですし、
    研究も進みます。
    そういった意味でも価値(学術的、ついでに経済的)があがるのは
    当然だと感じます。

    その作品単体である時の評価が、
    作者がダヴィンチと判明したとたんに跳ね上がるのはどうか?
    と、いう儀につきましては、
    わたくし素人の意見で僭越なのですが、
    作品は単体で存在しているのではなく
    作者の生み出した作品みんなが繋がって存在していて、
    そうやって、ダヴィンチという大きなパズルを作り上げているのだから
    その問題の作品が大きな絵を構成する1ピースと判明した時点で
    それ相当の価値がつくのは当然の帰結、と考えます、素人考えですが(笑


    素人の意見を長々と申し訳御座いません、ご容赦下さいませ。

    あぁ、そうだ。ダヴィンチといえば、
    人体を解体したスケッチが大好きです。
    実に科学的で。

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    1. なるほど、的を射ていると思います。
      学術的観点からみれば価値が跳ね上がるのは当然ですね。

      しかし、仮にそれがすべてだとすれば、ダヴィンチの絵の構図や美しさ、筆のタッチなどはクリスティーズで判断された程度のものとなってしまうので悲しい気がします。

      一生かかっても最終到達点がそれくらいなのかな、とは思いたくありませんから。

      45ポンドのほうはさすがに安すぎる気がしますが、それを深く考えると制作活動に支障がでそうなのでやめておきます(笑

      ダヴィンチへの当時の依頼料がいくらだったのかはわかりませんが、それが作品本来の価値なのかもしれませんね。

      余談ですが、同時期にダヴィンチとも親交があり、負けず劣らずの名声を得ていたアルブレヒト・デューラーという芸術家は、神聖ローマ帝国の宮廷画家として千数百万程度の年俸をもらっていたようです。となると1作品あたり数十~百万程度というところでしょうか。


      話がちょっとずれますが、日本での慣習では1号あたりいくら、という肉の量り売りのような価格設定が行われています。

      たとえば東郷青児の場合ですと、号280万程度と相場がほぼきまっていて、大体10号の絵が2800万、20号の絵が5600万となります。
      (今はもう少し上がっているかもしれません)

      日本の美術界も含めて考えるとますます難解に…

      それにしても、理路整然とした御意見ありがとうございました。

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  3. わたくしのような素人のコメントに
    斯様な御丁寧な返信をいただき恐縮に御座います。

    実は、あの数行を書き上げるのに2時間強を要してしまいましたので
    御丁寧な返信をいただきましたことに非常に感動いたしております。

    長々としてしまうと御迷惑になると存じますので
    わたくしの言いたかったことをまとめすと・・・

    芸術家の皆様が、これこそが自分が表現したかったもの!
    そうお考えになって創りだされたものは、
    例外なくどれも魂がはいっていて最早「生命」と呼べるものかと存じます。
    その「生命」が、他人にどう評価されようがそんなことは考える必要は微塵もなく、その魂の感ずるままに絵筆を取られて完成されたものは、
    必ずや人の心に訴える力を持つものと思いますので、だからそこにこそ、真の芸術があるものだとわたくしは信じております。(文学もそうでありますし)

    わたくしはただただ、そういった表現の技術を持っておられる
    岩井様はじめ芸術家の皆様が羨ましいかぎりで御座います。
    わたくしたち凡夫の代弁者として、
    これからのより一層のご活躍をお祈り申し上げております。。

    長々と大変に失礼いたしました。

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    1. いえいえ、美術品の価値を語るのに玄人も素人もないと思っております。
      常に魂をこめる創作を心がけていますが、心から表現しきれたといえる作品が常にできるわけではありません。
      そういうものを世に送り出す事のほうがむしろ多いくらいです。
      ダヴィンチがモナリザを亡くなるまで加筆しつづけたことは有名ですね。あれも彼の中では未完成なのでしょう。


      私自身の場合、理想どおりに表現しきれたものは概ね評判がいいです。
      と同時に少し不満が残る作品のほうをいいと言ってくださるかたもいます。
      また日本の慣習の話で恐縮ですが、それでも同じ大きさなら同じ値段をつけなければならないという状況に心を痛めます。

      売れる絵を描かなければ職業画家としては失格です。しかし、売れる物を追求し、大衆迎合してしまえば『表現したいもの』からは大きく逸脱してしまいます。

      ともかく研鑽を積むしかないですね。心に訴えかける作品を目指していこうと思います。

      もやもやしているものがありましたので色々としゃべってすっきりしました。HSパパさんありがとうございます。
      こちらこそ長文で読みにくかった点があると思いますがお付き合いいただき感謝です。

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  4. 『芸術は長く人生は短し』


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  5. ん~なるほど~・・・
    美術品の価値は難しいのですね・・?!

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    1. ぐい飲みの値段も悩みましょう!

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  6. 以前障がい者の美術展をみたことがあります。

    評価とか値段とか関係なく、ただ自分の思いと、感じたことを
    現わしたいことを、いちずに表現していると思いました。

    自己表出がアートだと思います。

    自分が創ったものに値段をつけるのは難しいですね。ぐいのみでも・・・・

    ピカソのように生きてるうちに評価され、おおいに稼げたのはめずらしいです

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    1. 素直な表現っていいですね。
      小学生のように、技術は稚拙でも大胆にのびのびと描いている作品をみると素晴らしいと思います。

      趣味で創作活動できるような環境ならいいな、、なんて思ったりします。

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